沖縄の「政治的安定」

「外交、防衛は国の専権事項だが、日米安保体制を維持するためには、沖縄の社会的、政治的安定が必要」という沖縄の稲嶺知事の発言が新聞に載っていた(毎日 4/9)。
新聞による発言の要約だから、実際の正確な発言内容そのままとは受け取れないことは踏まえつつも、読んで悲しくなった。

「沖縄の社会的・政治的安定」。
沖縄住民のごく普通の生活への要求は、こんなふうに切り縮められてしまった。まるで占領下のイラクについて、米軍の司令官が使うような表現だ、これは。そして、その「安定」が必要なのは、「日米安保体制を維持するため」だというのだ。沖縄社会の「安定」は、目的ではなく手段ということになる。

言うまでもないが、東京に住むぼくが、稲嶺知事を批判しようというのではない。こうした論理に訴えなければ、政府に耳を傾けてもらえないと沖縄県知事に判断させている「こちら」の状況が、悲しいのだ。