引き続き韓国のろうそくデモ

キャンドル集会に出ていたバンド
前回コメント欄で、6月21日にソウルで行われた「頑張れキャンドル!1泊2日コンサート」「百万キャンドル大行進」のネット生中継を紹介したが、ぼく自身はパソコンの問題で音を聴くことしかできなかった。
12時前後に「聴こえた」キングストン・ルディスカがかっこよかった。大御所ハックルベリー・フィンやナスティ・ヨナなどのインディーズ勢に加え、コッタジや歌を探す人々といった運動圏歌謡グループも出ていたらしい。

キングストン・ルディスカ
http://jp.youtube.com/watch?v=ca9_izjcpFE

ハックルベリー・フィン
http://jp.youtube.com/watch?v=BhYzrkO1_Nw

ナスティ・ヨナ
http://jp.youtube.com/watch?v=dJR5zZKpRm0&feature=related

ハックルベリー・フィンは、批評家の支持はすごく高いが、ぼくはもう一歩好きではない。歌詞がいいらしいけど。ナスティ・ヨナは、だんだん「いいかも?」と思いはじめており、今度ソウルに行ったら買ってこようと思う。キングストン・・・は、中継で聴いた音がすごくよかった。夜12時にソウル中心部で野外ライブだもんね。



最近の状況
先にも紹介した以下の二つのブログが、李明博の牛肉輸入再開告示(26日)以降の、緊迫した状況を引き続き大量に伝えている。アメリカとの追加交渉による「韓米の業者による自主規制」というあいまいな合意によって政権支持率が一定の回復を見せた機を捉えて、李明博は、なお抵抗を続ける人々を一気に一掃しようと攻勢をかけている。激しい弾圧と、一部で激しい抵抗が起こっているようだ。デモ参加者二人が指を失ったという。ひとりは戦闘警察の盾によって。もう一人は戦闘警察の歯によって…噛み切られたそうだ!


世界の端っこで「違う」と叫ぶ(旧:韓国人ぬるオタ李明博研究所)
http://no2mb.exblog.jp/

薫のハムニダ日記
http://hamnidak.exblog.jp/

中央日報の日本語版は、「暴力デモキャンペーン」一色となり、ちょっと異様な感じ。なるほど、これが「朝中東」か。
日本の新聞もほとんどが「朝中東」のメガネで状況を見ているから、日本の我々が今、放水を浴びている側の声を聞き取ることは難しい。

そうしたなかで、「キャンドル集会」側の人々が発する生の言葉を、ビビッドに日本語に翻訳し続ける「世界の端っこで「違う」と叫ぶ(旧:韓国人ぬるオタ)」の存在は、本当に貴重だ。感謝して読んで頂きたい。

韓国6.10キャンドル集会 「パンク族」って一体・・・

6月10日は数十万人が集まったようだ。引き続き資料の紹介。


文章資料


引き続き、「韓国人ぬるオタによる李明博研究所」が、韓国ブロガーたちの議論を紹介している。http://no2mb.exblog.jp/

「私たちはめんどいし、非政治的だからデモする」という文章からは、この間の急速な運動拡大の背景に、保守絶対優位国会を背景として、李が反対者不在のままCEO的トップダウンで「改革」を進めつつあることへの危機感があることが読み取れる。

「2MBにないものが、ここにはあった。明博山城の7時間ガチ討論」という文章は、李が築いたコンテナの壁「明博山城」の前で、「このコンテナを越えて進むべきか」について3000人以上(!)の人々が朝まで討論を続けたことを伝えている。彼らは自分たちが作っているこの解放区を「アゴラ」と呼んでいたようだ。アゴラとは、市民たちが討論していた古代ギリシアの「広場」のことだ。


韓国:6.10、ソウルでは70万が集まる」(レイバーネット)
http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/korea/issue/fta/1213207678128Staff
チャムセサンがネットで同時中継したドキュメントの記録。とても長いので、とても興味がある人向き。上の記事が新しく、下に行くほど古い記事になっているので、下から時系列で読んだほうが分かりやすい。


10代の若者たちの闘いはアジア人の健康を守る闘い」(かけはし)
http://www.jrcl.net/web/frame080616i.html
フィリピンの知識人へのインタビュー。韓国の新自由主義化とそれへの抵抗運動が、世界とアジアのなかで、どのような意味をもっているのかを分かりやすく語っている。


映像資料


MBCのニュース番組は、「キャンドル2008 『アゴラ』の登場」と題して、このキャンドル集会の「新しさ」を検証。1)「アゴラ」の現代的発見、2)、中心の多様化、3)脱権威・連帯、4)アナログな「大義政治」の麻痺とまとめている。
http://jp.youtube.com/watch?v=tRNjKhPrGEo&feature=related


そのほかのニュース映像
http://jp.youtube.com/watch?v=rgbvxCUWZ5k
http://jp.youtube.com/watch?v=_RmQrd0hkWo&feature=related


おまけ。
「パンク族も一緒だよ!」(「時事IN」の現場中継から)
「その格好はなんですか?」「パンクです」という若者にインタビュー。プラカードには「集示法反対」の文字。集示法はデモ規制法。それにしても「パンク族」って…。
http://blog.sisain.co.kr/246

「あなたがたは、ガキから学ばなくてはならない」

韓国の状況資料編。


you tubeの映像
中高生の運動の様子(「牛肉キャンドル集会に出る中高生たち」)
http://jp.youtube.com/watch?v=uNxto8Yiogc&feature=related
拡大する運動の様子(「違法とされた民主主義」)
http://jp.youtube.com/watch?v=9X6-gMwHfls&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=fZhdzd63A-Y&feature=related
弾圧の様子
http://jp.youtube.com/watch?v=6wYGIwgPZJs&feature=related


■ブログ

この間の展開を日本語で紹介しているサイトがいくつかある。とくに「レイバーネット」は、1日に何本もの記事を翻訳し、リアルタイムでソウルの状況を追尾している。

レイバーネット内「韓国の労働運動」(左派系ネットメディア「チャムセサン」の翻訳)
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/korea_news
韓国人ぬるオタによる李明博研究所(無名のブロガーたちの議論を中心に)
http://no2mb.exblog.jp/

上のふたつが詳しい。


ほかに記事が出ていたもの。
半島浪人レポ
http://blog.livedoor.jp/yorogadi/
薫のハムニダ日記
http://hamnidak.exblog.jp/中道左派ハンギョレ新聞社説を紹介)
喜八ブログ
http://kihachin.net/klog/archives/2008/06/hamnida080604.html


■この運動内部からの声

この運動は、街頭でも、ネット上でも、多くの議論を表出させているようだ。その一部分を、上記のサイトで、日本語で読むことが出来る。現場の雰囲気が生き生きと伝わってくる。


「大衆の活力を『管理』しようとしないでください。」
http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/korea/issue/fta/1212257181959Staff(レイバーネット)
「今回の市民の抵抗は、それこそ、誰も指導部ではない、自律的で民主的な姿に進化しています。」「タハムケが大衆の指導を受けて下さい。大衆を信頼して下さい。共に楽しく戦いましょう。」(タハムケは、反戦を中心としたマルクス主義的な左派運動組織)


「私たちはひとつじゃないから美しい」
http://notarin.exblog.jp/8053908/#8053908_1(上記「ぬるオタ」さんの別ブログ)
途中まで、資料的なもの。真ん中くらいまで進んで、「以下は、5月31日の午後に、集会に出る前に、あるブロガーが書いたもの」という文章から読んでみてほしい。
「私たちは一つになる必要はない。私たちはひとつじゃないからこそ美しいのだ」「つい(さっき)殴られたばかりの人々が戦闘警察に抗議することを、非暴力の名のもとに批判するな。身も心も傷ついた彼らの怒りを冒涜するな。相手の暴力に抗議することを非暴力という言葉の力で押さえつけようとするな。私はあなたがたの舌を引き抜きたいと思った。」



「5.18光州ではない。68年フランスなのだ」
http://no2mb.exblog.jp/8714790/#8714790_1(「ぬるオタ李明博研究所」から)
「あなたがたは『ガキ』から学ばねばならない。民主闘士のパラダイムでは今の現実を理解できない。そんなふうに接近しては、敗北してから自分のせいではなく『思考力のない子供達』のせいにするようになる。思考力がないのは子供達ではなく紛れもないあなただ。」


■「運動圏」の困惑

「予測できない…憲法第1条を書き直す市民革命」
http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/korea/issue/fta/1212830955544Staff(レイバーネット)
「実定法違反かどうかを越えて、すでに抵抗権が発動されている。…抵抗行動、直接行動をしていると解釈することが正しいのではないか」。


「街角の政治は誰を困惑させるのか」
http://www.labornetjp.org/labornet/worldnews/korea/issue/fta/1212257066803Staff
「25日の朝、光化門にいた人々は、光化門が解放空間だったと言う。その解放の道路で休むことなく形成された政治討論の結論は、『独裁打倒』だった。」

韓国で何かが始まっている。

韓国で、アメリカ産牛の全面解禁に反対する10〜20万人規模のデモが続いている(日本は今のところ生後20ヶ月以上と危険部位の輸入は禁止しているが、李明博危険部位以外の全面解禁をアメリカと合意した)。5月半ば以降、連日連夜、デモとキャンドル集会が途切れることがない。日本のマスメディアはあまり大きく伝えていないが、隣国で「何か」が始まっていることは確かだ。日本の、とくに運動圏の人々はもっと注目してほしいと思う。その「運動の質」は、かつてないものだ。

まず、運動の口火を切ったのは中高生であり、野党や運動団体ではなかった。
4〜5月、中高生の間で、ネットや携帯メールを通じて狂牛病への不安が猛烈な勢いで(非科学的なデマも多かったらしいが)語られ、彼らが街頭に飛び出したのである。大人たちは彼らの突然の登場に驚き、週刊誌は軒並み「なぜ子どもたちは街頭に出るのか」といったタイトルで特集を組んだ。中高生のスローガンは「私はまだ15年しか生きていません」とか「一緒に生きよう!大韓民国」などであった。

連日のソウル中心部でのロウソク集会運動はその後、大人に拡大し、最近はソウルで連日、10万人規模の集会が続いている。中高生の運動から広範な大衆の運動となったのだ。李明博の支持率は2月就任時の50%から20%に下がった。
自然発生的で不定形なこの運動の特徴が、「レイバーネット」などの報道から読み取れる。

◆時間無制限。朝までやっている。
◆街頭でのアメーバ的な動き方。
◆統率組織がなく、個々人の参加。現場で議論しながら動く。
◆徹底した非政治性(政局や組織への無関心)。
◆既成野党や運動団体が追いついていない。かと思うと現場で統制しようとして反発を食う。
◆徹底した非暴力。

中高生の怒りの背景には、狂牛病への不安のほかに、李明博の教育改革(徹底した英語教育など)への反発があったのかもしれない。そして市民にとっては、牛肉輸入に止まらず、大運河構想や、一層推し進められようとしている新自由主義など、李明博政権への拒否そのものが表現されるようになってきている。

集会では「大韓民国憲法第1条の歌」が歌われている。「大韓民国は民主共和国である。すべての権力は国民から発する」という第1条の条文を歌うもの(ちなみに日本国憲法第1条も「君が代」という歌になっている)。警官隊の「代表者は皆に解散を促してください」という放送には「みんなが市民で、みんなが代表だ」と言い返しているそうだ。

6月10日(火)、全国で100万人を集める大集会が予定されているらしい。だが、李明博と保守派は、この運動を「親北朝鮮勢力の陰謀」に結びつけようと必死だ。非暴力を貫いてきたキャンドル集会でも、警察車両の窓ガラスを破壊するような動きも一部ででてきたらしい(運動内部では「警察側のスパイの犯行」と議論されているようだ。おおにありうる話だとは思う)。

火曜日がひとつの山場になりそうだ。次回はこの運動の内外で語られている生き生きとした議論を、いくつかの日本語ブログから紹介したい。



レイバーネット内「韓国の労働運動」
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/korea_news

対抗運動の国際的連帯とエスペラント

北海道から送られてきた文章をもうひとつ転載する。

北海道自由エスペラント協会代表の宮沢さんが、ソウルで開かれた「ザメンホフ祭」(ザメンホフの誕生日に合わせて各国で開かれる)で挨拶した内容。このソウルのザメンホフ祭は、社会運動志向のエスペランティストが集まったもので、新しいグループの設立集会でもあった。若いアナキストたちも参加していたそうだ。

韓国でのエスペラントの最盛期は80年代後半で、当時の民主化運動の潮流と結びついた社会運動志向のものだったという。「エスペラントは社会運動から離れると力を失う」と、中心的なメンバーは語っていたとのこと。

宮沢さんは、エスペラント・グループのほか、市民運動の活動家らとも意見交換してきた。「なぜ日本の労組や政党はG8に反対しないのだ」といぶかしがられたそうだ。反グローバリゼーションの運動が存在しないのか、と聞かれたらしい。

以下の発言において、宮沢さんは、エスペラントが、その直接性、簡易性において、反グローバリゼーションの国際共同闘争(たとえば一昨年の香港WTO闘争のような)の現場で、国際連帯のシンボルとして、また実践的な次元で大きな役割を果たしうると主張している。



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韓国闘うエスペランチストグループ設立集会での
北海道自由エスペラント協会代表の発言



G8サミットとエスペランチストの役割          2007年12月15日


■G8サミットとは何か

2008年G8サミットは7月7日から9日まで日本の北海道で主要8カ国(アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランス、日本、ロシア)の首脳会議が行われる。それまでに環境大臣会議(神戸)、外相会議(京都)、財務相会議(大阪)など各大臣の会議が日本各地で行われる。このサミットは毎年8カ国持ち回りで開催している。2007年はドイツ、ハイリゲンダムであった。

G8サミットは、貧困、環境破壊、戦争の拡大を招いてきた新自由主義的なグローバリゼーションの有力な仕組みとして機能している。それは1973年のアメリカ、西ドイツ、フランス、イギリスの4カ国による蔵相会議までさかのぼれる。サミットは戦後の国際経済秩序をささえた金・ドル本位制の崩壊と、オイルショックに対して国際新秩序を模索してはじまった。現在はグローバル化・ボーダレス化した経済問題、安全保障、治安問題などをあつかっているため「グローバルガバナンス」(地球統治)と呼ばれることも多い。

G8サミットの政策は、「新自由主義」というイデオロギーにもとづいている。「新自由主義」の政策には5つの柱がある。

1.関税障壁の撤廃(農産物の輸入自由化
2.公共部門の民営化(鉄道、郵便、医療、水道、教育などの諸分野に民間参入)
3.労働の柔軟化(労働法制の基準緩和、非正規雇用の推進)
4.規制緩和(金融、資本投資の規制、環境規制などの緩和)
5.警察国家化(テロ対策、移民管理の強化)

サミットに参加する国々はIMF世界銀行自由貿易協定などを通じて、世界中のあらゆる国々を「新自由主義」へと方向づけてきた。世界は多国籍企業を中心とする巨大企業の利益を優先し、大多数の人々を貧困に陥れる方向に突き動かされている。

このG8サミットは国連から委託されたものでもなければ、各国の国会から承認されたものでもない。まったくの私的な会合である。そもそも参加各国の人口は全部あわせても全世界の14パーセントにしかすぎない。にもかかわらず全世界の利権はこのようにG8に集中している。全世界の国民生産の3分の2、地球上の二酸化炭素の排出量は47パーセント、エイズを含む医療特許権の80パーセント、武器輸出の90パーセント、軍事支出は60パーセント、IMFに対する投票権の48パーセント、世界銀行に対しては47パーセントにもなる。G8諸国はその非民主性を隠し、世界に対する大きな責任があるにもかかわらず、自らの利害調整と見せかけの人道主義で世界中の人々をだまそうとしている。


■対抗運動とエスペランチストの役割


1.平等と国際主義のシンボル

このような欺瞞的なG8サミットに対して特にヨーロッパでは、アナキストコミュニスト、NGO組織などがゆるやかなネットワークをつくり、国際的な反サミットあるいはオルタナティブサミットの運動で大きく対抗している。2007年ドイツでは10万人もの人々がサミット会場を包囲した。

しかしアジアではヨーロッパのような大規模な国際的対抗運動は実現していない。これはアジアにおいてサミットの矛盾が現れていないというわけではない。さまざまな社会的歴史的要因を考えることができるが、ひとつ大きく取り上げることができるのは、言語の障壁の存在である。私は10年以上日本の公式の英語教育を受けてきたわけだが、細かい打ち合わせをする際、ヨーロッパからの一通の英語のメール(たぶん彼は30分程で書いたに違いない)を解読するのに2日間、返信するのに3日間ついやしている。私たちは運動の中でも不平等と非効率に直面する。

このアジアの状況下、エスペランチストはその存在自体、言語の壁をのりこえる平等と国際主義のシンボルとしての存在意義があるといえる。

2.情報の共有

インターネットが普及し、携帯で撮った写真をその場で送れるようになったにもかかわらず、民衆の運動での国際通信は限られたものになっている。写真にエスペラントのキャプション(いつ、誰が、どこで、何を、なんのために)をつけるだけで立派な国際情報になりえる。これならエスペラントを習いたての初心者にもできることだ。必要なのは闘うエスペランチストの国際ネットワークだ。この集会はそのためにもある。

3.互いの経験と立場の理解と尊重

相互理解と相互尊重は決して長々と続く議論の中からは生まれてはこない。共同の戦いの中での議論と実践の中から生み出されてゆく。粘り強い努力とエスペラントの能力も要求される。にもかかわらず私はこの点についても常に楽天的だ。なぜなら私たちは共通の理想を持ち、共通の敵がいるのだから。

4.国際共同闘争

それぞれの母国で行う闘いを国際的に結び付ける場合、通信員の役割は大切になる。だが、どこか一ヵ所に集まる国際闘争の場合、通訳や国際連絡などがはるかに重要で複雑になっていく。敵がグローバリズムを推し進めてくる中で、私たちが肩をならべて闘い国際連帯を実感することがますます重要になっている。私たちは資金的困難やコミュニケーションの困難を乗り越えてあらゆる可能性を追求していくことになる。

そして、どの国際会議でも無視していた“やくざな”言語で意志を統一したさまざまな民族からなる国際部隊の登場に、世界の帝国主義者たちがふるえあがる日がくるのを、私は夢みるのである。


北海道自由エスペラント協会
001-0045 札幌市北区麻生町1-3-13  TEL/FAX 011-7174189 郵振 02710-8-44861

エスペラントを知っていますか。

世界共通語=エスペラントをご存知だろうか。19世紀末、ポーランド言語学者ザメンホフによって発明された人工言語である。ザメンホフは、ユダヤ人として受けた迫害を通じて、「諸民族の対等な交流の手段としての中立言語」の必要を痛感し、簡単な文法で構成されたこの言語を考案し、広めていった。

もちろん、世界共通語と言いながら、世界中でエスペラントを学ぶ人は約100万人に過ぎない。だが英語を筆頭に、力のある国家・集団の言語が国際的、地域的に「共通語」とされ、ネイティブスピーカーとして特権を享受できる集団と、その学習を強いられる集団とに分かれてしまうなかで、エスペランチストたちは、すべての言語の平等(言語権)、ひいてはすべてのエスニック文化の平等を実現するための手段として、すべての言語から公平中立なエスペラントを有意義に活用していくことができると考えている。

また1920〜30年代、世界的に盛んだったのが、SAT(世界脱民族性協会)を中心とした国際労働者エスペラント運動であった。彼らは、抑圧と闘う諸民族・労働者民衆の直接的な連帯の運動として、エスペラント運動を展開していった。しかしそれ以降、エスペラントは、ナチスドイツでもソ連でも弾圧されていく。
(参考:ウルリッヒ・リンス『危険な言語』岩波新書

前回紹介した「北海道自由エスペラント協会」は、エスペラントの言語権の理念と、SATの運動の伝統を継承して07年10月に結成された、北海道のエスペラントグループである。ぼくも、エスペラントは挨拶程度しかできないのだが、理念に賛同して(幽霊)会員として参加している。北海道自由エスペラント協会は、近日中にHPを解説する予定である。

次回も引き続き、北海道エスペラント協会から送られてきた文章を紹介したいと思う。

北海道から反G8のアピールが届く

あけましておめでとうございます。そして、ごぶさたしております。
北海道自由エスペラント協会から、7月に予定されている洞爺湖G8サミットへの反対声明が届いたので、以下に転載します。

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北海道自由エスペラント協会 国際アピール

G8洞爺湖サミット反対!
国際主義・直接行動の闘いに結集しよう

 我々、北海道自由エスペラント協会は、ともに闘う北海道の仲間と共に、世界のエスペランチストエスペラント学習者・友人たちに反G8の闘いに参加することを訴える。闘いはここ北海道で国際的に展開されるだけではなく全世界で行われるであろう。
 世界を支配する大国8カ国(米国・カナダ・英国・フランス・ドイツ・イタリア・ロシア・日本)の指導者8人が、来年2008年7月7日から9日まで、日本の北海道・洞爺湖でG8サミットに集まることが決まった。サミットは国際資本の利益のための密室の会議であり、グローバリゼーション(巨大資本の世界的展開)を推進するものである。このグローバリゼーションのために、世界中の労働者・農民・市民・そして先住民たちが苦しんでいる。
 今回の開催地北海道は、第二次世界大戦後も保持し続ける日本の植民地のひとつであり、同地に日本人の到達以前から住んでいる先住民族アイヌに対して過酷な同化政策が行われた歴史をもつ土地である。日本政府はいまだにあきらかに先住民であるアイヌ民族を「先住民族」とは認めようとしない。にもかかわらずサミットにおいて日本政府はアイヌ民族の文化を利用しようとすらしている。(民族の文化を利用するのであれば、最低限先住民族としての存在を認知してからにすべきである)
日本政府が行っているいわゆる改革政策は、東京の好景気を生み出すと同時に、北海道の深刻な不景気をも生み出している。日本の改革政策とはグローバリゼーションであり、格差社会とはその結果である。北海道の労働者・農民・漁民・商工業者はさらに大きな困難をかかえるか、かかえようとしている。だが、北海道をはじめ日本の民衆はいまだ自らのかかえる課題とグローバリズムとの関係を見出せないでいる。
 今こそ、反G8・反グローバリズムの国際的闘いが日本、北海道で求められている。国際主義と民衆自らの直接行動を軸としながら、幅広く重層的な統一戦線を形成しよう。労働者・農民・知識人・青年・地域住民・先住民の広範な反グローバリズムの闘いをここからこの地に築くため、全世界の同志・仲間の決起を訴える。
 エスペランチストは現地での国際的な参加者の通訳・連絡にその役割を求められている。そして可能であるならば、エスペランチスト自身の部隊による国際的反対行動を行いたいと考えている。

2007年10月16日
北海道自由エスペラント協会
001-0045札幌市北区麻生町1-3-13  TEL/FAX 011-717-4189   郵振02710-8-44861